リーマンのゼータ関数と無限積(オイラーの積公式)について知りたいので解析入門 I を読んでいる。
ζ(s)=n=1∑∞ns1(s∈C,Re s>1)
は次のような無限積で表すことができる。
ζ(s)=p:prime∏1−ps11
この証明を追ってみる。
次の式は初項 1 、等比 p−s の等比数列の和の極限:
1−p−s1
つまり
(1+pn−s+pn−2s+⋯+pn−ks+⋯)=k=0∑∞pn−ks=1−p−s1
である。これをすべての pn について掛け合わせたものが (1) の右辺。最初からすべての pn について積をとるのはきついので、次のように 2 つの素数 pn, pm で考える:
(k=0∑∞pn−ks)(l=0∑∞pm−ls)
ここで k=0∑∞pn−ks は絶対収束する(Re s>1)。この絶対収束することが大切で、二重級数の分配法則と和の交換法則に関する命題を用いることができる:
(k=0∑∞pn−ks)(l=0∑∞pm−ls)=k, l=0∑∞(pnkpml)−s
しかもこの右辺も絶対収束する(あとで和を交換するときにこのことが効いてくる)。
この等式の左辺を等比数列の和の極限で書き換える:
(1−pn−s1)(1−pm−s1)=k, l=0∑∞(pnkpml)−s
同じことを 2 つの素数ではなく一般に m 個の素数 p1, ⋯, pm で考える(p1, p2, ⋯ は素数を小さい順に並べる):
n=1∏m1−pm−s1=k1, ⋯, km=0∑∞(p1k1⋯pmkm)s1
※たぶんここは p.387 にある「k 重級数への拡張」が必要。
この (2) の左辺を m→∞ とすると (1) の右辺になる。一方 (2) の右辺の
p1k1⋯pmkm
は、p1, ⋯, pm を素因数とするような自然数すべてを渡る(k1, ⋯, km が 0 以上の整数すべてを渡るから)。だから m→∞ としたときゼータ関数になりそうな気がする。これを厳密に記述する必要がある。
まずは (2) の右辺を次のように pm 以下の自然数と pm より大きい自然数にわける。わけることができるのは (2) の右辺が絶対収束するから。
n=1∏m1−pm−s1=n=1∑pmns1+n>pm∑′ns1
ここで n>pm∑′ns1 は p1, ⋯, pm のみを素因数とする pm より大きい n に関する和を表す。
n>pm∑′ns1<n>pm∑ns1≤n>pm∑∣ns∣1→0 (m→∞)
となる(ζ(s) が絶対収束するから)。よって (3) の両辺を m→∞ とすると (1) が成り立つ。
参考
解析入門 I