今日は学生の頃ゼミで読んでいた数論序説をつまみ読み。
類数の有限性
数論序説 p.112 定理 3.3:
k を代数体とする。Mk をミンコフスキー定数とする。このとき k の任意のイデアル類に Nka≤Mk となるような k の整イデアル a が存在する。
この定理から類数の有限性が示される:
I:={a⊂Ok∣Nka≤Mk}
とおく。定理 3.3 より I はイデアル類の 1 つの完全代表系となるから ∣I∣<∞ を示せばよい。
Mk 以下の素数は有限個だから Nkp≤Mk となるような k の素イデアル p は有限個である。よってイデアル論の基本定理より Nka≤Mk となるような k の整イデアル a も有限個である。すなわち ∣I∣<∞ である。
デデキントのゼータ関数
K/Q を代数体とし、hK を K の類数とする。
ζK(s):=0=a⊂OK∑(NKa)s1, s∈C
をデデキントのゼータ関数という。リーマンのゼータ関数は Re s>1 で絶対収束するからデデキントのゼータ関数も Re s>1 で絶対収束する。HK をイデアル類群とし Cj (1≤j≤hK) をイデアル類とする。
ζj(s):=a∈Cj, a⊂OK∑NKa1
とおくと (1) は
ζK(s)=n=1∑hKζj(s)
となる。直感的にはなりそうだが、どうやって厳密に示したらよいのだろう。おそらく絶対収束するから項の任意の入れ替えが可能なのだと思う。
hK=2 のときをやってみる。まずは部分和を考えるために 0 以外の整イデアル全体を添え字づける:
0<NKa1≤NKa2≤⋯
このように添え字づけられた整イデアル全体の列
{ai⊂OK}i∈N, ai=0
から HK={C1, C2} の各類に属する部分列を次のように定義する:
ai, j:={ai0(ai∈Cj)(ai∈/Cj)
このとき
Cj={ai,j}i∈N∖{0}
ここで部分和を
ζK(n)(s):=i=1∑n(NKai)s1ζj(n)(s):=i=1∑n(NKai, j)s1
と定義する。ただし、ζj(n)(s) において ai, j=0 なる項は除く。
このとき
ζK(n)(s)=j=1∑hKζj(n)(s)
となる。この両辺を n→∞ とすれば (2) を得る。
※ ζK(s) も ζj(s) も絶対収束するから項の入れ替えが可能で
n→∞limζK(n)(s)=ζK(s)n→∞limζj(n)(s)=ζj(s)
となる。
参考
数論序説